藤田(ふじ)
投資先ファンドを選ぶ際に気になるのが、投資実例。
実際どこに投資して、どれくらいの利益を上げたのかを知れるのと知れないのでは信頼感が違いますよね。
本サイトではBMキャピタルの投資実例紹介第一弾としてコロナショック時のリスク管理術、第二弾として「エーワン機密」への投資実例を紹介しましたが、今回はお待ちかねの第三弾。
産業向け機械の専門商社「極東貿易」への投資実例を紹介しますね。
第一弾:日経平均-21.5%のコロナショックでもプラス圏で推移
第二弾:日本割安株へのバリュー株投資で収益率+51%達成
第三弾:1年で収益率+69%!バリュー株投資の見抜き方
バリュー株投資実例:極東貿易
今回実例として紹介する極東貿易は、産業向け機械の専門商社。
海外にも販路を持っていて、周辺企業との企業合併にも積極的な東京本社の企業です。
あまり知られていませんが、航空機、護衛艦、無線機などで防衛省とも取引がある軍需銘柄としての一面も持ち合わせています。
第一弾、二弾を読んで頂いた方にとってはおさらいになりますが、BMキャピタル(BM CAPITAL)が銘柄選定で主に重視している目線は以下の2点。
- 企業の基礎体力
- 株価の割安度合
早速、以下当時の極東貿易の企業データを元に1項目ずつ見ていきましょう。
1.企業の基礎体力
・有価証券報告書
・貸借対照表
・損益計算書
まずは、有価証券報告書(企業の内部情報の開示資料)を確認します。
有価証券報告書は企業のIRページ、またはEDINETで誰でも確認することが可能ですよ。
今回は、EDINETからデータを抽出しました。
ここで実際に確認していく、有価証券報告書の確認項目は以下の4項目となります。
売上高 | 売上の総額 |
---|---|
経常利益 | 営業活動以外の収支(例:借入金の返済や利息の支払い)も考慮し算出した利益 |
純資産 | 企業の保有資産(負債を除く) |
1株あたりの純資産額 | 純資産 ÷ 発行済株式総数 |
引用:EDINET
早速、上記の項目を有価証券報告書から確認していきましょう。

いかがでしょうか?売上は好調、かつ経常利益も増加傾向にあることがわかります。また、純資産額も右肩上がりで企業の基礎体力は十分であると理解できます。
また、1株あたりの純資産額は610円。
当時の極東貿易の株価は180円と考えると、1株あたりの純資産額>株価で純資産額に対し株価が割安状態で放置されていると判断できます。
売上高 | 好調 |
---|---|
経常利益 | 好調 |
純資産 | 好調 |
1株あたりの純資産額 | 610円>株価 |
2.株価の割安度合
ここからは、株価の割安度合を企業の保有資産、営業成績などから総合的に推し量るために必要な情報を算出していきます。
まずは、貸借対照表を見ていきます。
保有資産のうち、
現金性資産(1枚目の画像赤囲み部分の合計):367.19億円
負債(2枚目の画像赤囲み部分の合計) :287.27億円
現金性資産から、負債を差し引き
367.19 億円-287.27億円
=79.92 億円
同社の現金価値(企業が解散した場合に残る資産)は79.92億円と判断できます。
通常ではここで損益計算書を確認しますが、同社は確認期間中に企業買収などにより特別利益が生じており正しい評価が難しいこともあり今回は省きます。
続いて見ていくのが、直近5年間の営業利益。
年度 | 営業利益(百万円) |
---|---|
24年 | 96 |
25年 | 400 |
26年 | 877 |
27年 | 521 |
28年 | 1203 |
平均すると年間6.19億円程と算出可能です。
今回、事業価値に関しては、営業利益に相場である7倍の倍率を掛けて計算。
※企業買収・合併(M&A)の際などでも、事業価値を推し量るために営業利益に7倍(厳密に言うと業界によります)をかけて算出することが多いです。
事業価値=営業利益x7倍
=6.19億円x7倍
=43.33億円
・現金価値:79.92 億円
・事業価値:43.33億円
さてここまでの確認と計算で、株価の割安度合いを推し量る材料は全て揃いました。
最後に以下で、極東貿易の株式価値を算出していきます。
極東貿易の発行株式は32,319,592株。そのうち、160,000株は自己保有株式ですので数字から除いておきます。

1株当たりの現金価値 = 現金価値 ÷ 実質株式数
= 79.92 億円 ÷ 32,319,592
= 247 円
1 株当たりの事業価値 = 事業価値 ÷ 実質株式数
= 43.33 億円 ÷ 32,319,592
= 134 円
株式価値 = 1株当たりの現金価値 + 1株当たりの事業価値
= 247 円 + 134 円
= 381 円
したがって、極東貿易の株式価値は381円と計算できますね。
実際381円の株式価値であるべきところ、180円という株価がついていた点で割安であったと理解できます。
参考までに同社の場合、投資を始めてから1年ほどで381円を超えたところで売却。結果収益率69%を記録しています。
投資をお任せしながら勉強できる
この選定方法は決して特別なものではなく、一般的な割安株の選定方法です。つまり、誰でも取り組むこと自体はできます。
しかし、現在上場株式だけで3000社を超え、割安と判断されても価値が歪んだまま株価が上昇せず何年も低空飛行続ける銘柄や、上がる前に倒産してしまうような銘柄も存在。
そんな中BMキャピタルでは卓上での計算だけでなく、実際に企業を訪問、対話を通して得た情報や金融業界で培った人脈やマーケット感を総合的に考慮し投資判断を行います。
そういう意味ではご自身で時間と熱意をかけて投資先選びを出来る方は、投資コストも節約できますから割安株の分析を行い自己投資されるもの一案です。
反対に、投資にかける時間がない、大金を自己運用するのは怖いという方は自身の代わりにプロに銘柄選定~運用してもらうというのも時間の上手な使い方かと思います!
