藤田(ふじ)
数ある株式投資の手法の中でも、安定運用重視の投資者の人気を集める割安株投資。
本来の企業価値に対して、割安な状態で放置されている「割安株」へ投資。市場において適正な評価を受けられるようになり、株価が上昇した段階で売却を行うことで、利益を狙いに行きます。
そんな割安株への投資は、
- 底値での購入となり値下がりリスクが低い
- 純資産に基づけられた銘柄選びとなり、市場の値動きの影響を受けにくい
という特徴があり、コロナショックの余波で市場の値動きが落ち着かない今、さらに注目を集めています。
そこで今回は、そんな日本割安株を投資対象とするヘッジファンドの中でも知名度が高く、アクティビストの顔も併せ持つ「BM CAPITAL(BMキャピタル)」と「ストラテジック・キャピタル」を比較。
各ファンドの特徴からどちらのファンドがおすすめなのか考えてみます!
比較ファンドの概要
まず、これから紹介するBMキャピタル、ストラテジックキャピタルを知らない方のために、両ファンドの概要をご紹介します。
BM CAPITAL(BMキャピタル)
BM CAPITAL(BMキャピタル)は東京にオフィスを持つ、国内ヘッジファンド運用会社。
運用会社名 | ビーエムキャピタル合同会社(BM CAPITAL LLC) |
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オフィス住所 | 東京都港区六本木7-18-1 |
代表社長 | 森山武利 |
設立 | 2013年 |
投資対象 | 日本株 |
最低投資額 | 1000万円~ ※少額投資も相談可 |
出資までの流れ | 1.お問合せフォームより連絡 2.面談 3.出資・入金 |
同社は公式サイト内にも記載がある通り「過去にマイナスになった年ゼロ」「年間での平均利回り10%以上」という、安定したパフォーマンスが特徴です。
※実際には組成してから今まで年10%~20%くらいで推移しています。
また、同社の最低投資額は1000万~と比較的少額、かつ初心者に目線を合わせた丁寧な面談や運用報告書で投資のハードルをぐっと下げています。
ヘッジファンド初心者向けのファーストファンドとして、特に退職金などのまとまった資産の運用先としても選ばれているようです。
ストラテジックキャピタル

運用会社名 | ストラテジックキャピタル(Strategic Capital, Inc.) |
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オフィス住所 | 東京都渋谷区東3-14-15 MOビル6F |
代表社長 | 丸木強 |
設立 | 2012年 |
投資対象 | 日本株 |
最低投資額 | 1000万円弱 |
出資までの流れ | 1.販売委託先テネオ・パートナーズ社へ問い合わせ 2.面談 3.出資・入金 |
ストラテジックキャピタルは、かの有名な「旧村上ファンド」の主要メンバーであった丸木強氏立ち上げの、国内ヘッジファンド。
アクティビスト、いわゆる物言う株主として、投資先の企業価値改善の為に大株主としての影響力を活かし積極的に提言を行っています。
元通商産業省(現在の経済産業省)官僚であった村上世彰氏が率いた、投資ファンドの通称。
株式を買い占め、大株主として株主価値の向上のため経営改善などの提案を積極的に行うことから「物言う株主」と呼ばれた。
同社は、投資先に提言を行う内容を特集サイトとして一般公開。
話題性の高いインパクトのあるアクションを取ることが多く、金融ニュースで目にすることもしばしば。メディアなどから、投資先ファンドの動きをウォッチしやすいのも特徴です。
両ファンドの違い
早速、日本バリュー株を投資対象とするBM CAPITALとストラテジックキャピタルを以下6つの観点で比較していましょう。
- 運用者
- 運用方法
- 最低出資額・投資者
- 手数料・運用成績
- 購入方法、解約
- 口コミ・評判
まずは、ファンドの主幹である運用者を見てみましょう。
運用者
BM CAPITALの運用担当者は、東京大学卒業後に、英国有名投資銀行バークレイズ(Barclays)証券に入行。
現在は同ファンドの運用責任者を担当。未公開株ファンドであるトータスパートナーズの運用も兼任されているようです。
参照:トータスパートナーズ
面談時の話によると、投資先企業の分析能力に非常に長けており、銘柄選びには天才的な能力を保有されているとのこと。
運用姿勢は常に堅実でリスク管理を徹底されており、大切な資金を預ける投資者としては信頼できるファンドマネージャーと言えるでしょう。
若干30代とのことで、今後のパフォーマンスも楽しみ。気になる方は、面談時に詳しくヒアリングできると良いですよ。

引用:ストラテジックキャピタル
ストラテジックキャピタルの代表運用者は、丸木強氏。東京大学を卒業後、野村證券株式会社へ入社。
その後、村上ファンドの前身である株式会社M&Aコンサルティング(後のMACアセットマネジメント)の創業メンバーとして、日本発のアクティビストファンドの運用に従事されていました。
2012年にアクティビストファンドであるストラテジックキャピタルを設立後、代表取締役として同社の代表取締役に就任。
2000年代前半から現在までアクティビストの最前線に立ち続けているファンドマネージャーで、メディアにも度々登場されています。
運用方法
先述のとおり、BM CAPITALの投資対象は日本割安株で保有資産や業績ベースでの銘柄選びを行う為、市場の値動きに影響を受けない運用が可能。
ヘッジファンドならではのショートやデリバティブを活用をしたリスクヘッジも行い、下落相場でも積極的に利益獲得に臨みます。
実際に、多くのファンドがマイナスを出した2020年初頭のコロナショックでも、無傷でフィニッシュ。
過去にマイナスを出した回数ゼロという記録からも分かるよう、同社のリスク管理能力は国内でもトップクラスであると言えます。

実はBM CAPITALにも過去アクティビストとしての投資活動が見られ、一時期は株式の発行体である企業の企業価値改善のため、提言や働きかけを行なっていた時期もあるよう。
しかし、実際はマーケットで利益を出すほうが確実性が高いとの判断で、近年は同社のアクティビストとしての目立った活動は見られません。
こちらも、投資対象は日本割安株。しかし、BM CAPITALとは反対にアクティビストとしての積極的な活動が目立ちます。
最近であれば、極東貿易株式会社や蝶理株式会社へ価値向上の為の働きかけを行なっているよう。働きかけの内容は、同社個別銘柄特設サイトで確認が可能です。
(投資先個別銘柄特設サイト)
同社に投資を行うことで、アクティビズムと何か?という部分を肌を持って感じることが出来るでしょう。
国内でここまではっきりアクティビストファンドとして投資活動を行なっているファンドは大変に貴重であると言えます。
一度、ご自身の資産をアクティビストファンドへ投資してみたいという方には、ストラテジックキャピタルはこれ以上ないぴったりのファンドと言えるでしょう。
その代わり、アクションの一つ一つのインパクトが大きいため、ファンドの動向はしっかり注視していく必要がありますね。
最低出資額・投資者

BM CAPITALの最低投資額は1000万円~。
面談を通し投資適性は見られますが、基本的には投資初心者でも投資は可能。
ホームページ上でも述べている通り、投資初心者に目線を合わせた顧客サポートを行なっている点は特徴の一つ。
面談、運用報告書も日本語で、投資初心者にもわかりやすいよう図や表を多用した作りとなっています。
しっかり理解して投資するという、投資の基本を自然と抑えられるのは同社に投資する大きなメリットと言えるでしょう。
同社の最低投資額はドル建てになるので為替状況にも寄りますが、約1000万円弱と考えて良いでしょう。
資料に関しても基本的には英文となるようで、基本的には過去に投資経験がある、若干玄人向けのファンドと言えますね。
先述したとおり、日本語での説明サイトや随時出されるプレスリリースなど情報源は複数ありますが、アクティビスト戦略は金融や企業経営の基本がわかっていないと、理解は難しいです。
同社に投資を行いたい方は、ある程度の投資の知識や経験を積む必要があります。
投資初心者の方は、ストラテジックキャピタルへの投資は難易度が高いと言えそうです。
ある程度投資に知見があり、アクティビスト戦略の良さや魅力をしっかり理解できる方であれば投資を考えても良いでしょう。
反対に、BM CAPITALに関しては、マーケットにおいて安値で仕込み高値で売るといった、大変シンプルな運用方法ということ。
かつ、日本語での面談や運用報告書を提供してくれる点でも投資初心者にはおすすめできます。
手数料・運用成績

BM CAPITAL(ビーエムキャピタル)の運用成績に関しては、同社ホームページ上の記載の通り、
- 過去運用成績がマイナスな年0回
- 平均年間利回り10%以上
- 直近4年間で資産価値2倍以上
年間平均利回りが、10%をしっかり超えている点はヘッジファンドならでは。
「損失を出さない」を投資ポリシーとしているだけあり、2020年初頭のコロナショック、2018年の米中貿易摩擦など数々の下落相場もプラスで推移してきました。
資産を守りながら増やしたいという方には、ピッタリのファンドです。
手数料は、メインである「成功報酬」がパフォーマンスの50%程。別途、申し込み手数料が5%前後発生。
面談時には直近のリターンを確認し、最終的に手元にしっかり利益が残ることを確認して出資を決めると良いでしょう。
同社に関しては、情報公開に積極的でない私募ファンドならではと言えますが、運用成績、手数料ともに外部に公開はされていません。
気になる方は、販売元へコンタクトを取り、面談時に詳しい数字を確認できると良いでしょう。
また、ストラテジックキャピタルの運用成績に関しては、今後の同社のアクティビストとしてのアクションにも左右されることが予想されます。
よって、面談の際には今後の投資計画や展望に関しても合わせて確認出来ると良いですね。
ヘッジファンドに関しては、投資戦略流出の観点からも手数料・運用成績など細かい数字面に関しては、一般向けには公開されておりません。
興味のある方は、別途ファンドに問い合わせをし面談の場で尋ねられると良いでしょう。
また、少数の投資者を相手にするヘッジファンドでは、最低投資額まどの投資条件などの面で個別に融通が聞くことも多いです。
出資においてご自身の希望があるのであれば、ファンドの担当者に一度伝えてみると良いでしょう。
購入方法、解約
同社への投資希望者は同社のお問い合わせフォームを送信。
対面にてファンド担当者との面談を終えた後、出資希望者は書面での契約締結・入金を行い、ファンドでの運用が開始となります。
ヘッジファンドには運用開始から解約可能になるまでに、「ロックアップ期間」と呼ばれる待機期間があります。
同社のロックアップ期間は3ヶ月と比較的短期間、解約希望者はその旨ファンドの担当者に連絡することになります。
ストラテジックキャピタルへの出資希望者は、販売契約を締結しているTeneo Partners(テネオ・パートナーズ)社に問い合わせ。
面談の後、契約締結・入金を行い運用開始となります。
また、同ファンドのロックアップ期間は、ヘッジファンドとしては一般的な1年間。
1年以内の解約は手数料が発生する可能性がありますので、1年以上の長期に渡り使う予定のない余剰資金で出資を行う必要がありますね。
先述した通り、ストラテジックキャピタルに関してはロックアップ期間が1年間に設定されており、基本的に1年間は出資金がロックされてしまいます。
資金流動を防ぎ、効率的な運用を行うためのものではありますが、留意しておく必要はあるでしょう。
一方、BM CAPITALではロックアップ期間が3か月と短いため、投資のハードルは比較的低いと言えます。
また、2社とも出資前の面談は無料。両者の面談を通してファンドの特徴の違いや、数字面を比較してみると、客観的な判断が出来ますよ。
口コミ・評判

BMキャピタルって言う投資会社を紹介されたんだけど、何か知っている人います?
運用パフォーマンスは良いみたいだけど、正直言ってバーナード・マドフ事件に似たものを感じるんだけど。— よしと (@Yoshito_1205) November 30, 2019
ヘッジファンドへ預けての運用ってどうなんやろ? 国内ではBMキャピタルがやたら持ち上げられてる上に運用成績も抜群・・・ローリスクハイリターンなんてあるのだろうか?W
— FLiP@わんこ♡お小遣いで超富裕層を目指す♪ (@FLiPakO5) October 7, 2019
さっきヘッジファンドBMキャピタルと面談してきた。
3年前に1回して以来2回目。成績ずっといいし投資することに。
怪しんだ過去の自分に後悔・・— 史村文間(トレード歴13年目) (@Huuuumi2) June 11, 2019
BMキャピタルというヘッジファンドがある。なんでも東大卒の超エリートが運用しているようで最低投資額は1000万らしい。年間利回りがこれまでのすべての年で10%以上の成績を誇っている。とてつもなく凄いファンドじゃないか。私も米国株を現金化して、こいつに1000万の金を突っ込もう😊
— くろやぎ (@semirita1000) September 26, 2018
ヘッジファンド特有の情報の少なさからファンドに対しての興味や、怪しさについて言及されている方が多いよう。
投資戦略の流失を防ぐ観点から、情報公開を積極的に出来ないヘッジファンドゆえ、その詳細をネット上だけ得るのは困難を極めます。
その点、面談の場では投資判断に必要な情報は豊富に提供されるので、出資をお考えの方は一度話だけでも聞いてみるのをおすすめします。
話を聞いて合わないなと思えば、「検討してみます」と持ち帰ればいいので、力む必要はありませんよ!
京阪神ビルディング、今年はストラテジックキャピタルが株主提案しているらしい。
— 権七 (@gongon77gon) May 14, 2020
京阪神ビル、ストラテジックキャピタルは保有割合が増加
ストラテジックキャピタル 5.46% → 5.53%
UGSアセットマネジメント株式会社 1.44% → 1.79%— るきの (@hsGoLmSKWqFkn6j) May 29, 2020
ストラテジックキャピタル(S社)保有の世紀東急。1年前本決算時は増配&自社株買いを引き出せたけど今回は減配・配当性向29.3%止まりの計画、自社株買い無しと塩対応。資本コストの開示と配当性向100%の増配(S社サイトがソース)の株主提案も塩対応。CASH IS KINGの流れですな。
— じろ(26) (@26ooo) May 11, 2020
ストラテジックキャピタルのリリース、毎度の如く攻撃的で本当に笑ってしまう
— 姫川常務 (@noskillshachiku) May 10, 2020
貴重な国内アクティビストということで、投資に興味のある方が継続的に動向をウォッチしているような投稿が目立ちます。
積極的に表舞台で投資活動をすることもあり、投資者だけでなく金融関係者の注目も集めます。
どうしたら、企業価値を上昇させ、株価上昇を引き起こせるか。
投資のテクニックと言うより「企業の経営面」に興味のある方であれば、同社に投資を行った後もファンドの状況を見届けることに楽しみを見つけられそうです。
ストラテジックキャピタルについては、運用のダイナミックさが特徴。
金融ニュースで見かけるような知名度のある企業も巻き込み大きな投資をしたい方は、出資後も運用の動向を楽しんで追っていけるのではないでしょうか。
反対にBM CAPITALは投資方法は華やかではないですが、その堅実性で「現実的な投資先」とし多くの投資者の支持を集めているよう。
時代の流れもあり、最近ではSNS上でもヘッジファンドの情報収集は可能になってきています。
出資前にはツイッターなどでも情報収集を行うと、多角的目線から判断できるでしょう。
どちらがおすすめか
ずばり、投資に精通しており、今後アクティビストファンドへの期待をお持ちの方は、ストラテジックキャピタルへの出資を考えても良いでしょう。
近年企業と大型投資家の関わり合いの指標となる、日本版スチュワードシップ・コードが改定されました。
大型投資家による企業価値向上に向けた対話が行いやすくなり、アクティビストファンドの活動には追い風が吹いていると言えます。
また日本アクティビストファンドの発起人とも言える松木氏の投資手腕を間近で感じたいと言う方は、一度面談を通し話だけでも聞いてみることをおすすめします。
一方ストラテジックキャピタルは、投資手法や投資者適正の観点、またロックアップ期間の長さなどから、初心者には少し投資のハードルが高いのが事実。
そういう意味では、資産の損失リスクを最大限に抑え、堅実な運用に期待できるBM CAPITALは「投資初心者向け」という面でも現実的な運用先と言えそうです。